『心因性ED 』の原因の一つに、『軽症うつ病』がある。※参考『EDの原因となる6つの心理的な要因』。うつ病ほどではなくても精神的疲労がたまっていると、気分が優れずに意欲も低下し、これが原因でEDにつながることもある。
そしてこの『軽症うつ病』というのは、例えば、
- 家族が死に
- ペットが死に
- 恋人と別れ
- 伴侶と離婚し
- 子供が独立し
- 友人に恋人を寝取られ
- 仕事で大失敗をし
といった様々な要因によって、『うつ病とまではいかないが、明らかに憔悴し、意気消沈している』といったような状態を思い浮かべればいい。
そういう時、『元気』だろうか。それとも、『元気じゃない』だろうか。もし後者なのであれば、それとEDは結びつくことがわかるだろう。何しろ勃起が正常に行われているとき人はそれを見て、『元気だね!』と言うのだから。
日本は、震災大国である。1995年の阪神大震災から数えても、この20年という時間で実に多くの、そして甚大な規模の被害を伴った震災が巻き起こった。
日本の芸人、北野武は言った。
また、プロ野球選手のイチローも、震災のときに、その復興を応援する形を取った野球界に対し、
と言ったが、正直、震災が被災者に与えるダメージは、想像以上に大きい。私も東日本大震災のとき、浅草のマンションの9階にいたのだが、体感震度は生まれてから最も大きなもので、震度6ほどはあった。目の前の冷蔵庫が倒れ、物が蒔き散らかされ、巨大なマンションがまるで大きな赤ん坊に、無邪気かつ無責任に揺り動かされているような、絶望的なあっけなさがあった。
私は普段、30kg以上のダンベルを持って身体を鍛えているからすぐに悟った。
…その重さの数万倍もの重さであるこのマンションがこうも簡単に揺れて、今にも倒れそうになっている。もう終わりだな。そうだ。人間は必ず死ぬんだった。
私は本当にあの時、死を覚悟したのだ。だからシャワー中で着替える間もなかった私が、着替えることよりも先にやったことが、普段、きつく罵ってばかりいる部下のもとへ行き、彼を安心させることだった。
それから数時間後、近い身内に連絡をしたのだ。『大丈夫か!』すると彼は言った。
まるで、私が一人で妄想的に騒いでいる馬鹿のような思いになる、そんな明らかな精神的なギャップが確かにそこにあった。震災を経験した人間の気持ちは、震災を経験した人間にしかわからないことを悟った。
私ですら大変だった。その時、東北にいた人々は、そして目の前で大切な家族や身内、友人や仲間を失った人々は、とてつもないダメージを負ったことだろう。それがEDだろうが、うつ病だろうが、何に繋がってもおかしくはないのだ。
実は、うつ病、あがり症といった精神的な問題も、キーワードとなるのは『焦らないこと』なのだ。人間には心がある。心があるから人間なのだ。その心をおざなりにして考える必要などない。じっくりゆっくり向き合って心を整え、少しずつ状況を改善していけばいい。