男性不妊症が夫婦や妊娠に与える影響は?
男性不妊症であるEDは、夫婦に影響を与えます。
というか、EDとは『夫婦の問題』だと言っていいのです。決して男性だけの問題ではありません。また、当然ですが性行為が出来なければ妊娠もありません。
馬並師匠
さる
EDの別名は『男性不妊症』
不妊症はEDの原因となります。というか、ED自体が不妊症の一種です。EDの別名は『男性不妊症』ですからね。女性の場合、
- 卵巣
- 子宮
などに問題があり不妊症になり、男性の場合、
- ED
- 精巣
などが原因で不妊症になります。やはりそうした状況は人の気持ちを萎えさせますので、それが原因で心因性EDになることは十分あり得ます。下記の記事に書いたように心因性EDとは、
- SEXの時に与えられる緊張やプレッシャー
- 過度に期待される性器や性的なサービス
- 一度目のSEXでの失敗経験によるトラウマ
- 過去に断られた経験によるトラウマ
こうした精神状況に『負け』て交感神経が優位になり、EDとなるわけです。勃起の仕組みを見てみましょう。
- STEP.1エッチな刺激
- STEP.2副交感神経興奮
- STEP.3NO(一酸化窒素)放出
- STEP.4cGMP増加
- STEP.5陰茎海綿体平滑筋弛緩
- STEP.6動脈血大量流入
- STEP.7勃起
という流れが勃起の仕組みなのです。
- 交感神経が優位=緊張、不安
- 副交感神経が優位=リラックス
ですから、交感神経が優位になってしまうと、勃起の仕組み上、勃起が成り立たないんですね。NOも出ないし、血液も流入しません。ですから、メンタルに負担がかかっていればいるほど、勃起はしにくくなるわけです。ですからうつ病になるとEDになるんですね。うつ病患者はほとんどがEDです。
『ニッポン男子の下半身が危機的なことに気づいたワタシ (扶桑社新書)』にはこうあります。
『うつ病になると、あらゆる気力が失われていきますが、その中で最初に失われるのが性欲です。人間の身体とは、生命維持に必要ではないものから捨てていくようにできているんですね。例えば心不全の場合でも、EDが最初の症状であることがわかります。生きるために、心臓に血液を送ることが先決だと判断するからです。
ですから、うつ病もまず性欲がなくなって、そのうち睡眠欲、食欲などが失われていく。逆に言うと、寝て食べてセックスができればうつ病ではないと、僕は思っています。』
馬並師匠
さる
- EDの別名は『男性不妊症』。
- うつ病になると最初に失われるのが性欲。
優先順位を理解する人間の心
F1レーサーが時速300㎞を超える速度で転倒するとき、まず最初に『色』がなくなり、白黒になり、動きがスローモーションになるといいます。その現象にも、こうした脳の『優先順位の判断』が影響しているのでしょう。同じく、『火事場の馬鹿力』もそうですね。肉や骨を後回しにしてでも、その土壇場を乗り越えることを考え、普段出せないような力を引き出すことがあるのです。
この、
- 精神的負担を負うと交感神経が優位になる
- 精神的負担を負うと優先順位がつけられる
という2つの事実から、『人は精神的負担を負うとEDになる』ということになるんですね。ですからこの『不妊症に悩む』ということは、もちろん男性不妊症はそれだけでEDなのですが、女性が不妊症になった場合でも、そうした状況を重く受け止めたらそれはEDの原因となります。
どんなに子作りをしても、彼女との間には子供ができない…
などと思うと、そりゃあメンタルに響くものがありますよね。ですから、まずその気持ちは大事にしていいのではないでしょうか。見るべきなのは以下の記事です。
ということですよね。そう思ってしまうことを悲観視するのではなく、人としてこの重要な問題について悩むことは当然だと思うことが大切です。逆に、そんな状況なのに何も悩まない人の方が人としてどうかと思いますね。
馬並師匠
さる
- 人は優先順位を理解する。
唯一無二の命の価値を知る
『ED 検査・診断・バイアグラによる治療の実際』(保険同人社)にはこうあります。
勃起そのものは本当に重要なのか
(省略)実際にはある程度の年齢になると、女性はもう勃起や挿入はどうでもよくて、手を繋いで寝たり、抱き合ったりするだけで満足ということもよくあるようです。そうした場合には、勃起だけを重要視する必要はないと思います。
EDになっても、子供ができなくても、二人の間に愛があれば問題ありません。たとえ『血を残すことの使命』のことで考えても、例えば、不可避の天災や不慮の事故で亡くなった人はどうでしょうか。そこで突然、血は途切れるわけです。
では、だからという理由で彼らの命はお粗末なものになるのでしょうか。無意味で儚く、虚しい命だということになるのでしょうか。そんなことはないでしょう。だとするならば人間当然が儚く、虚しい命ということになります。
自分の祖先がどのような生き方をしてきたか全て熟知しているわけでもないのに、自分の血が残ったところでその行く末を確認することもできない。世間を騒がせる異常犯罪者になる可能性だって否定できない。
万が一自分の血がそうして残ったって、いつかこの地球がなくなってしまえばそこですべては終わりなのです。例えばニーチェは、この世界が『永劫回帰』という、
- STEP.1ビッグバン(破壊&宇宙創造)
- STEP.2宇宙が誕生
- STEP.3人間が誕生
- STEP.4ビッグバン(破壊&宇宙創造)
- STEP.5宇宙が誕生
- STEP.6人間が誕生
というループを無限に繰り返している可能性があることを提言しました。ビッグバンで宇宙が生まれ、地球ができ、人間が誕生し、そしてまたビッグバンが起こる。そうした破壊と創造が繰り返され、技術が進歩しても全てそれはリセットされる。ある角度からそれを考えると、『だからタイムマシンで未来の人が過去に来ない』という考え方になるわけです。
そう考えたら、別に『血を残す』とかそういうことは、もうどうでもよくなってきますね。いずれ人間は一人残らず消滅し、そして、もしかしたらまた同じように恐竜時代から繰り返す。その可能性だって否定できないのです。
しかしニーチェは、たとえもしそうだったとしても、つまりその永劫回帰があったとしても、その事実を憂うのではなく前向きに受け入れ、既存の価値に囚われずに新しい価値を生み出す人間を意味する、『超人』であれと説きました。
別にそれでもいいじゃないか。たとえそうだとしても『自分という人間はこの世にたった一人』なんだ。過去や未来、あるいは遠い宇宙に自分そっくりの要素でできたドッペルゲンガーがいたとしても、それは自分ではない。自分こそは、過去未来永劫の圧倒的な時間の規模において、そしてこの広漠とした宇宙という甚大な規模において、唯一無二。
その事実を受け入れた時、人はこのたった一度の一生を大切にすることができます。見るべきなのは以下の記事です。
そして、私は無宗教ですが、ブッダは言いました。
『天上天下唯我独尊』だと。
この言葉の真の意味は、『この世に自分という存在はたった一人しかいない。唯一無二の人生を、悔いなく生きるべし』ということなのです。
EDになっても、子供ができなくても、それは大きな問題ではありません。自分という人間が、大切な人と出会って恋をして、家族になった。その決定的な事実と奇跡を、もっと大切にするべきなのです。
馬並師匠
さる
- EDになっても、子供ができなくても、二人の間に愛があれば問題ない。
『不妊症とED』
さて、考え方の部分はこれでまとまりました。今度は別の角度からもこの『不妊症とED』、あるいは『妊娠とセックス』について考えていきましょう。先ほど、『勃起はそれほど重要ではない』と書きましたが、その本にはこう続きます。
もちろん、女性は年をとれば性欲がなくなるのがふつうだと、決めつけてはいけません。性欲があったり性行為を楽しみたいと思ったりしている女性に、そのことを実現するチャンスを減らすことになってしまいます。実際に『もう性行為はいい』と言っていた女性でも、パートナーの男性の治療がうまくいった結果、男女の関係が復活し、周囲の人から『穏やかになったね』といわれたりするケースが少なくないのです。
やはり、セックスができるならそれにこしたことはないわけです。また、女性の場合は男性のEDが治ればその気になることも多く、どちらかの不妊症が改善すれば、愛のあるセックスライフを取り戻し、更に愛情を深めることも可能になります。
『ニッポン男子の下半身が危機的なことに気づいたワタシ (扶桑社新書)』にはこうあります。
『女性は男性と違って、そもそも自発的な性反応がありません。排卵期などを除き何もしないのに突然『したいなぁ』となることは少なく、ボディタッチや言葉など、男性からの『したい』というアピールに刺激され、性的興奮が高まるんです。そうしてセックスすると、精神的満足を得て、よりパートナーとの親密感が増すという流れができ、それを繰り返すことで性的欲求が維持されるようになるんです。つまり、女性の性的欲求は、男性とのコミュニケーションによって、維持されもすれば阻害されもするというわけです。
たとえ不妊の問題があったとしても、女性側は、男性さえEDでなければセックスをしたいと考えることができます。愛のあるセックスはお互いの関係をより親密にしますし、セックスがなければ始まらないものもあります。問題を抱えていても、二人の愛を確かめ合い、あるいは深め合うことの大切さは、忘れないようにしましょう。
また、『妊娠・出産後のセックス』ですが、もし無事に子供ができ、そして生まれることがあっても、セックスレスになることがあります。その原因の一つは下記の記事に書いたように、
恋愛感情が『家族愛』に変化し、性的欲求を持てなくなるというものですね。たしかに、家族に対して性的欲求を感じてしまったら近親相姦を想像させるわけですから、自然なことだと考えてしまいます。しかしそれは違いますからね。家族は家族でも、『夫婦』ですからね。夫婦とは、家族の中でも特別な関係です。セックスをすることが認められている関係なんですね。
『親子』はダメです。しかし『夫婦』はいいんです。それを考えれば、恋愛感情が『家族愛』に変化してEDになる、というのは『間違った考え方』だということがわかりますね。
『ニッポン男子の下半身が危機的なことに気づいたワタシ (扶桑社新書)』にはこうあります。
世の中には、『女性は出産したら性欲がなくなるだろうから、男がEDになったって問題ないでしょ』と思う男性が実に多い。しかし、これは大きな誤解です。母性本能に満たされる出産直後はそういうこともありますが、少し時間たてば性欲が戻る人は多いと思います。
不妊症に悩む人と違って、精神的負担はないのですから、ないものねだりをするのはやめて、今すぐに心を整え、セックスレスである状況を改善するように努めましょう。それがパートナーを持つ人間の使命でもありますからね。
馬並師匠
さる
- 女性は男性と違って自発的な性反応がない。
- EDやセックスレスについて真剣に考える。
『妊娠とセックス』
では、『妊娠中』についてはどうでしょうか。『「からだの不思議」雑学事典 (王様文庫)』にはこうあります。
『妊娠中にセックス』はダメなの?
(省略)男女ともに流産や早産を心配して、妊娠中はセックスに消極的になりがちだが、基本的にセックスをすることに問題はない。医師から禁じられているといった状況でない限り、セックスをしても出産への影響はほとんどないのだ。ただし、お腹に赤ちゃんがいるのだから、いつもと同じというわけにはいかない。妊娠中のセックスにおいて、気を付けるポイントは3つ。
妊娠中もセックスをしてもいいんですね。ただ、気を付けるべき点があるということです。本はそのポイントとして、
- 1.お腹を圧迫しない
- 2.激しい行為を避ける
- 3.清潔にする
ということを挙げています。性感染症に罹りやすい妊娠末期などは特に注意で、破水や流産、早産を引き起こす可能性もあり、手や爪、ペニスの清潔性が求められ、ときにはコンドームを付けることも推奨されます。
妊娠中も出産後も、そこに『命がある』ということを考えたり、『家族である』という事実を考えると、確かに性的欲求よりも、家族愛が強まり、それがEDという方向へ傾いてしまうことも理解できます。しかしこの本にも『セックスはコミュニケーションのひとつ』と書いてありますが、自分がそう考えても、パートナーがそう考えているかどうかはわかりません。
一人で決めないでよ!二人のことなんだから!
という言葉が夫婦間で飛び出ることがありますが、その通り。結婚したら、もう独身じゃないんですよね。一人じゃないんです。二人、寄り添い、相手の人生も背負って生きていくことを覚悟したのです。
ニーチェは言いました。
二人でそうした問題を含めた会話をしながら、一生を添い遂げていきましょう。
馬並師匠
さる
- 妊娠中にセックスをしても出産への影響はほとんどない。
- 夫婦生活は長い会話である。