ED患者数の推移は?EDは何割の男性がなる病気なの?
EDの患者数の推移は、正確な数字が出せません。
ED自体が、あまり人に気軽に話せる問題ではないので正確なデータが取れないのです。世に出ている数字は、あくまでもおおよその数でしかありません。ただ、2014年の一説によると、1800万人に増えたという推測があります。このデータで考えるなら、EDは男性の6人に1人、約17%がEDということになります。
馬並師匠
さる
正確な推移はわからない
EDの患者数の推移は、正確な数字が出せません。ED自体が、あまり人に気軽に話せる問題ではありませんからね。正確なデータが取れないのです。世に出ている数字は、あくまでもおおよその数でしかありません。
同じように、下記の記事に書いたように『ペニスのサイズ』についてもそうです。
『切ってはいけません! 日本人が知らない包茎の真実』にはこうあります。
石川 足立博士の論文でもわかることだけど、仮性包茎のていどというのは、目で見ただけではだめで、ちゃんと包皮をのばして計測しないと正確なところはわからない。おまけに信頼できる統計をつくるには、何百何千という男性を測定しなきゃならない。戦前の軍隊ならいざしらず、今のご時世でそんな検査ができるわけないよ。
ポイントは、『信頼できる統計をつくるには、何百何千という男性を測定しなきゃならない。』というところですね。つまり、この種の疑問に正確に答えるのは難しいということです。全人間の男性を集め、その一人一人の性器をチェックし、勃起させ、硬さや持続力を調べる。これが実現できなければ、この疑問の答えは出ません。
同じように、『世にED患者がどれくらいいるか』という事実は、永久に明るみになることはないでしょう。大体の数字なら出せますけどね。
例えば、『ED 検査・診断・バイアグラによる治療の実際』(保険同人社)にはこうあります。
EDは増えている
(省略)10年ほど前のデータではEDの患者数は約300万人でしたが、すでに述べたように、1999年には980万人となっています。もちろんこの数字から、EDが急速に増加していると単純に結論付けることはできません。病気というのは一般に、病名がついてその症状や治療の現実が広く知られるようになると、病院にくる患者さんが増えてくるからです。
とくに『これは気持ちの問題だから、しょうがない』などと思われていた症状の場合、患者さんは『ああ、これは病気だったんだ』とむしろ安心して医師のところへやってくるようになります。
したがって、この980万人という数字は、治療している・いないをふくめて、現在、日本にこのくらいのEDの患者さんがいる、という推計の数字と考えてください。
つまり、1989年頃には300万人だったのが、1999年になると980万人に増えたとあります。およそ3倍になっていますね。しかし、だからといってEDが急速に増えたということではなく、病気の認知ゆえの心理的流動など、様々な要素が関係していて、そう断言することはできません。
これは、うつ病を考えるときもそうですね。『「うつ」は病気か甘えか。 今どきの「うつ」を読み解くミステリ』にはこうあります。
抗うつ薬バブル
(省略)うつ病という病気にかかって、薬による治療がどうしても必要だからこそ飲んでいる人が多いはずである。だがこのグラフの上昇率はどうだ。ここまで急速に、薬を必要とする患者が増えるなんてことは考えられない。あるとすれば感染症の大流行くらいだ。うつ病は感染症ではない。うつ病の情報だけなら感染するかもしれない。
どんな商品でも、こんなに急に売れるのは、背景として強力な情報の感染があるのが常だ。その商品がどうしても必要なんだと人々に思わせる情報。
ここには『抗うつ薬の売上推移』のグラフが掲載されていますが、2000年から数えて、2008年に至るまでの8年間で、売り上げが800億円以上も上がっています。このグラフを短絡的に考えると、うつ病患者があっという間に激増した。まるで、感染症のように激増したと考えることができます。
しかし、著者は『単なる情報感染だ』と言います。
抗うつ薬がなければだめだ…
と思わせる情報が感染し、蔓延した。そして抗うつ薬の売上がこんなにも急激に激増したのです。たしかに、その見解は一理ありますよね。私などもその通りだと考えます。それにこの見解は先ほどのEDの専門家が書いた本にあった、
病気というのは一般に、病名がついてその症状や治療の現実が広く知られるようになると、病院にくる患者さんが増えてくる
という部分と密接に繋がっていますよね。情報感染により、EDやうつ病という症状を知り、また同時にバイアグラと抗うつ薬の存在を知った。そしてそれと同時にそうだと認知する人が増え、あるいは薬を利用する人が増えたのです。
またこれは、自己破産について考えても同じことです。破産制度そのものは大正11年に作られましたが、平成17年にいわゆる『新破産法』が生まれ、破産手続きの合理化と迅速化が図られました。破産者が手元に残すことのできる財産が拡張され、破産のハードルが低くなったのです。自己破産件数は、
- 2003年=25万件
- 2012年⇒8万件
- 2015年⇒6万件
と、減少傾向にあります。
自己破産がピークを迎えた2003年当時ににあった背景としては、
- 1)企業倒産による失業
- 2)地価下落による住宅ローンの重圧
- 3)給与の伸び悩み
- 4)2000年10月に施工された弁護士による広告の解禁
等がありました。4)はつまり、それによって自己破産制度の認知が広まったということで考えられます。
- STEP.1企業倒産による失業
- STEP.2地価下落による住宅ローンの重圧
- STEP.3給与の伸び悩み
- STEP.42000年10月に施工された弁護士による広告の解禁
- STEP.5自己破産制度の認知が広まった
馬並師匠
さる
- EDの患者数の推移は、正確な数字が出せない。
- 情報感染すると人の行動はある程度予測できる。
人間の思い込みの力はすごい
私がたまたま知ったこの3つのテーマ、
- 自己破産
- うつ病
- ED
という問題は、全て共通して『認知と同時に該当者が増えた』という事実で共通しています。したがって、EDの患者数が増えているという事実があるからといって、それを盲信し、過度に心配する必要はないということです。見るべきなのは以下の記事です。
これは、『人間の思い込みの力は甚大である』ということを示唆した黄金律です。あらゆる偉人の言葉、そして参考書を元に作られている記事です。人は思い込みによって、時に難病が治癒することがあります。
一つだけ例を抜粋しましょう。
世界的に著名なアメリカの細胞生物学者であり、ウィスコンシン大学医学部やスタンフォード大学医学部で教鞭をとる、ブルース・リプトン博士の著書、『思考のすごい力』にはこうあります。
1952年、イギリスで、ある掛け出し医師がミスをした。そのおかげで、医師アルバート・メイソンは、短い間ながら学界でもてはやされることになる。
メイソンは15歳の少年のイボを催眠療法で治そうとした。イボの治療に催眠療法が適用されることがあり、かつ成功率も高く、メイソンもそれまで経験を積んできた。
(訳註:イボはウイルスの感染によるものだが、催眠によるイボの治療は当時広く行われており、治癒率はかなり高かったという。だが、なぜ催眠によってイボが治癒するのかは解明されていない。)
ただし今回は厄介なケースである。肌がごわごわになっていて、人間の肌というより、まるでゾウの皮膚のようなありさま。しかも全身がその状態で、まともなのは胸だけ。
ある外科医が皮膚移植で治療をしようとして断念し、メイソンに少年を任せたのだ。
最初の治療で、メイソンは片方の腕に焦点を絞ることにした。少年を催眠状態に導き、この腕はイボが治って健康なピンクの肌になる、と暗示を与えた。一週間たって再びやってきたとき、治療を施した腕はかなり良好な状態になっていた。メイソンは喜び、少年を外科医のところに連れていった。だがそこで、メイソンは自分が医学上のミスを犯していたのを悟った。
腕が治ったのを見て、外科医はびっくり仰天した。メイソンには伝えてなかったのだが、少年の腕はイボではなく、先天性魚麟癬(ぎょりんせん)という、命にかかわる遺伝病によるものだった。
この病気の症状を精神力『だけ』で治すことなど、とうてい不可能だと考えられていたのだが、メイソンと少年はそれをやってのけたのである。
メイソンが引き続き少年に催眠療法を施すと、最初に治療した腕と同じように、肌のほとんどは治癒して、健康的なピンク色に戻った。少年はグロテスクな肌のために、学校で情け容赦ないいじめを受けていたが、その後は普通の生活を送れるようになった。
メイソンが魚麟癬の驚異的治療について、1952年に『英国医学雑誌』に報告すると、大騒ぎになった。
メディアが派手に書きたてたために、致命的で、かつ良療法が見つかっていない、この奇病に悩む患者たちがメイソンのところに押しかけた。だが結局、催眠療法は万能ではなかった。メイソンは何人もの魚麟癬の患者に催眠療法を試みたが、あの少年と同じような結果は、ついぞ得られなかった。
メイソンは、治療に対する確信の無さが失敗の原因だと考えた。少年を治療したときは悪性のイボだと思い込んでいて、必ず治せると自信満々だったのだが、そのあとの患者の治療にはそういう態度で臨む事が出来なかったという。
プラシーボ効果とは、思い込みの力。このプラシーボ効果の力は、甚大なのです。EDの原因の割合は、
- 心因性=52%
- 器質性=48%
ですからね。心因性、つまり心の問題でEDになる率が半数を超える現実がある中、あまりこのプラシーボ効果を悪い方向へ持っていくことは、賢明ではないのです。
ED治療薬が認可された年を見てみましょう。
バイアグラ | 1999年 |
---|---|
レビトラ | 2004年 |
シアリス | 2007年 |
まず最初にバイアグラが認可されていますね。その年を見てください。『1999年』とありますね。先ほど、1989年頃には300万人だったのが、1999年になると980万人に増えたとありました。これがどういうことかということは、大体わかりますよね。
情報感染によって、プラシーボ効果でED患者が増えた可能性があります。また、バイアグラ欲しさに、今まで言わなかったが、『それがあるなら試したい』ということで、一歩踏み出す人、あるいは興味本位の人などが現れた、という背景もあるかもしれません。
しかしいずれにせよ、正確な数字はわかりませんね。したがって、データを盲信することなく、出ている数字は『大体の数字』だと解釈するのが賢明です。間違ってもそれが原因で思い込み、心因性EDにならないように注意しましょう。
馬並師匠
さる
- 人間の思い込みの力はすごい。
- 情報感染によって、プラシーボ効果でED患者が増えた可能性はある。
一応の潜在的人数は
念のため最新の情報も掲載しましょう。2014年に出た本の内容です。
少し古いデータになりますが、1998年の『日本性科学情報センター』による疫学調査によると、我が国の31~79歳の男性のうち、EDに悩む患者の数は、1130万人にのぼると報告されています。
この数に軽度のEDは含まれていません。それでも、対象となった年齢層の男性の6人に1人(約17%)がEDとなります。国民病といわれる糖尿病の患者数は、2012年で950万人です。98年の時点で、EDはすでに糖尿病を超える数の患者がいたことになります。
さらに現在では、98年に比べて高齢層が増加し、一説によるとその患者数はなんと1800万人といわれています。
※()内の詳細は省いています。
1998年で1130万人と出ましたね。先ほどの数字とすでに違います。先ほどは、1999年で980万人でしたからね。しかし、この1130万人とう数字は、違う専門書でもよく見かける数字ですので、このどちらも一応ちゃんとした出どころを元に算出したデータとなります。
注目なのは、2014年の一説によると、1800万人に増えたという推測です。たしかに、高齢化が進めばそれだけED等を患う人の数も多くなりますから、そういう数字が出てもおかしくはありません。つまりこのあたりの数字をまとめると、
- 1989年=300万人
- 1999年=980~1130万人
- 2014年=1800万人
ということになります。そしてその数字の増加の理由を付け加えると、
- 1989年=300万人
- 1999年=980~1130万人(バイアグラの認可と情報感染)
- 2014年=1800万人(3つのED治療薬と高齢化の影響)
ということになるでしょうか。これらは全て、正確な数字ではありません。実際に一人一人にアンケートは取っていませんからね。私自信がそのアンケートを書いていませんし、そういう人がほとんどでしょう。
このデータで考えるなら、EDは男性の6人に1人、約17%がEDということになりますが、あくまでも一つの推測ですので、その程度だと思って解釈するのが賢明です。
馬並師匠
さる
- 一応の潜在的人数は1800万人である。
- 男性の6人に1人、約17%がEDである。