薬剤性EDって何?
抗うつ薬、降圧剤等の服用している薬によって起こされるEDのことです。
馬並師匠
さる
4つのED
EDの原因の割合は、
- 心因性=52%
- 器質性=48%
です。
下記の記事に書いたように、
器質性と心因性のそれぞれの主な原因は以下のようになっています。
器質性EDの主な原因
- 1:高血圧、高脂血症、糖尿病、動脈硬化
- 2:脊髄損傷、多発性硬化症、前立腺や結腸など骨盤内の外科手術
- 3:腎疾患、肝疾患、ホルモンの病気
- 4:副作用としてEDを引き起こす薬物
- 5:喫煙、過度のアルコール摂取
- 6:自転車
心因性EDの主な原因
- 1:予期不安
- 2:不安発作
- 3:軽症うつ病
- 4:不妊治療
- 5:ターン・オフ
- 6:夫婦関係のストレス
こういったことが原因でEDになると考えられるわけです。しかし、ここから更に細分化することができます。それが、
- 混合型ED
- 薬剤性ED
です。まあ、大きく分けると先ほどの2つだけで十分なのですが、細分化するとこの2つを入れた4つになるということですね。つまり、
- 器質性ED
- 心因性ED
- 混合型ED
- 薬剤性ED
の4つに分けられるということです。そして、その細分化した2つのタイプのEDですが、詳細はこうなります。
混合型ED
動脈硬化があったり、生活習慣病であったりする人が、更に何らかの精神的なストレスを受けてEDを発症する。
薬剤性ED
抗うつ薬、降圧剤等の服用している薬によって起こされるED。
これを見ればわかるように、この2つのタイプは器質性EDと心因性EDを細分化したものである、ということがわかりますね。タイプというのは細分化されていた方がより厳密に状況を理解できます。
以前から、『器質性EDを患う人も、心因性に何らかの問題を抱えていることが多い』という解釈はありましたので、どちらのタイプだと決めつけるのではなく、総合的に考えた方がより確実な治療ができることになります。例えば、
と考えていても、実際には認知の歪みがあり、その考え方がEDを引き起こしているという場合もあります。またあるいは、
多分心因性EDだろう。あれが原因だろうなあ。
と思い込んでいたら、実際には生活習慣病などが関係していて、器質性EDだったということもあります。その場合、自分で決めつけて解決しようとして、例えば、
一時的なものだからバイアグラを友達にもらってしのごう…
という風に考えてしまえば、重大な病気を事前に発覚することができず、気づいたら手遅れになる、ということがあるかもしれないので、注意が必要です。何より、ED治療薬は医師の処方がなければ手に入らないので、そういうルートから素人判断で手に入れることは危険です。
ですから、自分が何が原因でEDになっているのかということは、必ず医師に判断してもらうようにしましょう。もし薬などをすでに服用している人などがいるならなおさらですね。硝酸剤を服用していたりするなら、もう死ぬことを覚悟する必要があります。バイアグラと硝酸剤の服用は絶対にNGだからです。
馬並師匠
さる
- EDは4つの分類に分けられる。
- 自分が何が原因でEDになっているのかということは、必ず医師に判断してもらう。
薬剤性EDの原因
さて、この薬剤性EDですが、EDを引き起こす薬剤として、以下のようなものが挙げられます。
- 利尿剤(サイアザイド系利尿剤)
- 降圧剤(末梢性交感神経抑制剤)
- 抗うつ剤(三環系抗うつ剤)
- 向精神薬(フェノチアジン系抗精神病薬)
- 睡眠剤(バルビツール系睡眠剤)
出典『 男性機能を高める本 (精力減退は酵素不足が原因だった)』
これらの薬を服用している方は、それによってEDになる可能性があるので注意が必要です。これが薬剤性EDですね。
うつ病の薬がEDになるというのは下記の記事にも書きました。
更に、EDとうつ病には関連性があります。心が問題でEDになるわけですから、うつ病になるとEDになる可能性が高くなります。
うつ病になると、それだけでEDとなり、更に抗うつ剤でEDとなるので、この最中は性的な問題は二の次三の次ということになりますね。
『ニッポン男子の下半身が危機的なことに気づいたワタシ』にはこうあります。
うつ病になると、あらゆる気力が失われていきますが、その中で最初に失われるのが性欲ですね。人間の体とは、生命維持に必要ではないものから捨てていくようにできているんですね。例えば心不全の場合でも、EDが最初の症状であることがあります。生きるために、心臓に血液を送ることが先決だと体が判断するからです。
ですから、うつ病もまず性欲がなくなって、そのうち睡眠欲、食欲などが失われていく。逆に言うと、寝て食べてセックスができればうつ病ではないと、僕は思っています。
『寝て食べてセックスができればうつ病ではない』と出てきましたが、それだけうつ病というのは人間の基本的な機能に支障を起こしてしまう、重い病気だということです。ですから、まず何よりも先にそれを改善することが優先され、他の機能が後回しになる。そしてEDとなるわけですね。
馬並師匠
さる
- EDを引き起こす薬剤を確認する。
脳が判断する優先順位に逆らえ
ただ、これも先ほどのEDのタイプの考え方と同じで、頑なにその優先順位を考える必要はないと考えられます。あくまでもそれは、『脳が優先順位を判断した』だけですからね。例えば、脳が(怖い)と判断したとします。しかし、目の前で『いじめ』が行われています。では、あなたは脳が(怖い)と判断したからといって、そのいじめを見て見ぬふりするでしょうか。
人間が、『尖端』や『高い場所』を怖がるのは、今まで生きてきた先祖たちの影響です。彼らがそのようなものによって怪我をし、あるいは命を落とした。そして、そのようなものを見ると恐怖感を覚えるようになり、自己防衛するようになったのです。
それ以上それに近づくと危ないぞ!
苦いもの、臭いものなんかに触れるときもそうですね。体にとって毒であるものを自分の身から遠ざけるために、人間の体にある種のセンサーが供えられるようになりました。いじめを見たとき、人が絡まれているのを見たときなども同じです。そういうシーンを見たとき、脳裏をよぎるのは恐怖心です。
怖いなあ。見て見ぬふりをした方が、一番安全だよなあ。
という考え方が沸き起こります。まずはそれでいいのです。そこまでは人間の知恵です。長い時間をかけて構築された自己防衛センサーですから、その機能を単純に喜びたい。そこまではしてもいいのです。
しかし、本当にそのまま見て見ぬふりをして『人間』としてその後の人生を生きていけるでしょうか。
フランスの哲学者、ルソーはこう言い、
アイルランドの作家、オスカー・ワイルドは言いました。
人間とは、他の動物と一線を画す生き物です。本能と野生だけではなく、理性も備わっています。誇りがあり、プライドがあり、矜持がある。たった一度の人生をできるだけ有意義に過ごそうとする、意地がある。その理性があれば、その自己防衛本能に打ち克つことができるのです。これが人間の矜持というものです。
ですから、まず『脳が優先順位を判断する』という事実はあっていいのですが、しかし、だからといってその判断が全て正しいとは限らない、ということを理解したいのですね。つまり、確かにうつ病になっても抗うつ剤を飲んでもEDになる、という事実はありますが、だからといって、
うつ病になるとEDになる。食事ものどを通らないし、睡眠もままならない。そういうものだ
と決めつけると、治るものも治らないかもしれません。よく、体調が悪い時にそういった欲望がわかず、それを拒絶することがありますが、周りにいる元気な人が、
何言ってるんだい!まずは食べなきゃだめだよ!食べてゆっくり寝るのが一番さ!
と言うのを聞いたことがないでしょうか。あの言葉が実に理にかなっているのです。つまり、『寝て食べてセックスができればうつ病ではない』のですから、あえてそれを強引にやってしまう。脳は『それは後回しだ』と判断するのですが、それを無視して、強引にそれをやってしまうのです。
すると、その行為に引っ張られ、心身が健康を取り戻す、そういうこともあるかもしれません。どちらにせよ、体調が悪いからといってそれらの行為から身を遠ざけると、より状況は悪化するだけですからね。
馬並師匠
さる
- 脳が判断する優先順位に逆らえ。
薬剤性EDの原因
ただ、もし本当にうつ病ということであれば、確かにEDよりもうつ病を先に治した方がいいという優先順位があることは確かです。抗うつ剤でEDになることを嫌がり、治療を受けないと素人判断で決めてしまうのは危険ですので、必ず医師に相談して決めるようにしましょう。
『ニッポン男子の下半身が危機的なことに気づいたワタシ』にはこうあります。
『いま何かと話題の抗うつ剤、SSRIがそうです。これには勃起・射精が抑えられてしまうという副作用があります。心療内科の医師はうつ病の患者さんに対し、この副作用については基本的にアナウンスしていません。うつ病の改善が最優先なので副作用にために飲まれなくなってしまったら治療になりませんからね。このSSRIは、早漏の患者さんの治療にも使われる薬です。毎日飲めば射精できなくなる人もいるくらいなんですよ』(永尾先生)
EDが治り、食べて寝ることができればうつ病ではなくなることも事実ですが、だからといってEDにこだわりすぎて、『EDになってしまう抗うつ剤』を拒絶してしまうのは、本末転倒になる場合があるので注意が必要です。
馬並師匠
さる
- うつになったらEDよりもうつの治療を優先する。