睡眠不足はEDの原因になる?
なります。睡眠不足が続くと交感神経が優位になりますが、それがEDの原因となります。
単純に、疲れていたり、ストレスが溜まっているということで精力が減退するということもあります。
また、1週間も睡眠不足が続くと、男性ホルモンは10~15%も減少します。男性ホルモンのテストステロンは性欲に関係していますので、それが原因で精力減退となる可能性もあります。
馬並師匠
さる
睡眠によって得られること
睡眠不足になるとEDになりやすくなります。その理由の一つはまず、『セロトニンの量が低下するから』ですね。ですから、うつ病やあがり症の人で、もともとこの『精神安定ホルモン』でもあるセロトニンの量が少ないという人は、それだけでEDの原因となります。
下記の記事に交感神経と副交感神経については書きましたが、
勃起の仕組みを見てみましょう。
- STEP.1エッチな刺激
- STEP.2副交感神経興奮
- STEP.3NO(一酸化窒素)放出
- STEP.4cGMP増加
- STEP.5陰茎海綿体平滑筋弛緩
- STEP.6勃起
という流れが勃起の仕組みなのです。
- 交感神経が優位=緊張、不安
- 副交感神経が優位=リラックス
ですから、睡眠も勃起も、副交感神経の方が優位になることが条件です。単純に、『明日が遠足だ!』という日などは、ワクワクしてしまってなかなか寝れませんでしたよね。そのように、興奮していたり、不安になっていると、交感神経の方が優位になっていて、睡眠の条件が整わないんですね。
ちなみに不安があるときに寝れない理由はまだあって、脳科学者澤口俊之先生によると、『人が不安なときに寝れないのは、その不安の原因である悩みや心配事を記憶に定着させないようにするため』だというのです。これは、脳の仕組みの基礎を理解していいないとわからないですね。
実は『記憶』というのは、睡眠をしてはじめて脳に定着するのです。それを理解していない受験生は、徹夜で勉強をして、脳に情報をたくさん詰め込んだ状態で、試験に臨もうとします。『寝ると忘れてしまう』という恐怖から、そうしてしまうんですね。
しかし、『アメトーーク!』でオリエンタルラジオの中田敦彦さんも言っていましたが、脳のことを知っている人は逆のことをします。それはもちろん澤口先生も当然知っていることなのですが、記憶とは、睡眠中に定着するものなので、試験の前には必ず睡眠を取った方がいいのです。
『脳とカラダの不思議 (にちぶんMOOK)』にはこうあります。
記憶のしくみは、パソコンとそっくり
(省略)頭で覚えた陳述記憶は、まず最初にメモリである海馬にいく。ここで一時的な記憶として保存され、ジャンル別に整理分類される。次に不必要な情報は消去され、記憶したいと判断された必要な情報だけが大脳新皮質の各部位に送られ、長期記憶として保持されるのである。
この『情報処理』は、睡眠中に行われます。ですから、勉強をした内容が『自分にとって不必要な情報』だと解釈すれば、睡眠中にその情報が消去され、記憶から薄れてしまいます。この事実を無意識に知っている人たちが、
寝たら記憶が薄れる!
と恐れてしまって睡眠を取らずに試験に臨むのですが、実際は往々にして、主体的に勉強した記憶はそう簡単には忘れません。さすがに本当に無理強いをされて、自分の心に嘘をついて記憶し、そこに主体性が全くない場合はもしかしたら忘れるかもしれませんが、受験をしようとしている時点で、そこに主体性がありますからね。そこを無駄に心配する必要はないのです。
むしろ、脳の仕組みから考えても、睡眠はした方がいい。それで初めてハードディスクである大脳新皮質にインプットされ、長期保存されるのです。一時的なメモリ(海馬)にキープしたまま試験に臨むか、長期記憶できるハードディスクに保存をして試験に臨むか、どちらが安全かは自明の理ということなんですね。
馬並師匠
さる
- 睡眠不足になるとセロトニンの量が低下し、EDとなる。
- 脳の仕組みから考えても、睡眠はした方がいい。
寝不足で交感神経を優位にするべからず
そこでもう一度澤口先生の言葉を考えてみましょう。『人が不安なときに寝れないのは、その不安の原因である悩みや心配事を記憶に定着させないようにするため』とありましたね。つまりそれは、『寝ると記憶に定着する』ことを裏打ちしているのです。
そう考えると、嫌なことがあってなかなか寝られないのは自己防衛本能。自分の心がその不安要素から守ってくれていると考えれば、寝付けない時間も愛おしくなってきますね。感謝の気持ちが出てきて余裕が出てきます。そしてそれが安心に繋がって、いつの間にか寝ることが出来ているかもしれません。
さて、そのようにして寝付けないということは、どちらにせよ『交感神経』の方が優位になっている状態です。寝るためには『副交感神経』の方を優位にし、リラックスすることが条件です。そしてそれは、勃起の仕組みで考えても同じことだということですね。
『ササッとわかる「SAD 社会不安障害」 あがり症の治し方 (図解 大安心シリーズ)』にはこうあります。
睡眠不足は緊張状態を作り出しやすい
(省略)セロトニン量が低下しているSADの人は、交感神経が緊張しやすいため、夜間の睡眠の質も低下がちです。質のよい睡眠がとれないと、副腎皮質ホルモンやアドレナリン、ノルアドレナリンといった脳内物質が放出されますが、このホルモンは危険を感じて逃げるときや戦うときに分泌されるホルモンと一緒です。つまり、睡眠不足になると、闘ったり逃げたりする時にドキドキしたり震えたりさせるホルモンが多量に分泌されることになるわけで、そうなると体はおのずと緊張状態に入ってしまうのです。
ササッとわかる「SAD 社会不安障害」 あがり症の治し方 (図解 大安心シリーズ)
- STEP.1セロトニン量が低下(SAD)
- STEP.2交感神経が緊張しやすい
- STEP.3睡眠の質が低下
つまりうつ病やあがり症の人は、元々セロトニン量が低下しがち、交感神経が緊張しやすい傾向があります。もうこの時点で、
- 睡眠不足
- ED
の原因となります。そして更にその睡眠不足によって交感神経が緊張しやすくなります。そして、
- うつ病
- あがり症
- ED
- 睡眠不足
という現象を生み出してしまうのです。まさに悪循環ですね。ですから、元々そういった精神的な問題を抱えている人も、そうでない人も、睡眠不足によって交感神経が緊張しやすい体質になると、それはEDになりやすい体質になってしまう危険性があるということになるのです。
馬並師匠
さる
- 寝不足で交感神経を優位にするべからず。
睡眠とテストステロン
またもう一つの見解があります。下記の記事で、『睡眠とテストステロン』について書きましたが、まずはその時点で一つEDに繋がる理由を挙げられることになります。
十分な睡眠を取らないとテストステロンは増量させられませんから、
- 性欲の発動
- ペニスの勃起
- 射精
といった、セックスのすべてに影響が出てしまうことになります。
更に『男性機能を高める本 (精力減退は酵素不足が原因だった)』にはこうあります。
1週間も睡眠不足が続くと、男性ホルモンは10~15%も減少します。また、十分に眠れないことそのものが体にとってはストレスになるため、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加します。コルチゾールと男性ホルモンの原料はともにコレステロールであることから、そのしわ寄せを受ける形で、男性ホルモンの生成はますます抑えられることになります。
そのうえコルチゾールは、睡眠をもたらすホルモンであるメラトニンの生成を抑制します。メラトニンが減った結果、さらに睡眠不足になるという悪循環に陥るのです。
先ほどの文献では、
- 副腎皮質ホルモン
- アドレナリン
- ノルアドレナリン
が分泌されて寝付けなくなるとありましたが、この副腎皮質ホルモンというのが、『コルチゾール』のことです。コルチゾールは結局睡眠不足の原因となるのがわかりましたね。そして追い打ちをかけるように、
- テストステロン
- コルチゾール
この2つはともにコレステロールを原料にしているので、コルチゾールにコレステロールが取られれば、テストステロンの方にしわ寄せがきて、十分な生成ができなくなります。それも勃起機能に影響してくるわけなんですね。コレステロールについては下記の記事に書きましたので併せてご確認ください。
馬並師匠
さる
- 寝不足になるとテストステロンが減少して、結果EDになりやすくなる。
メラトニンの強力な力
また『男性機能を高める本 (精力減退は酵素不足が原因だった)』にはこうあります。
メラトニンは強力な抗酸化物質
(省略)メラトニンには、睡眠をコントロールして、男性機能を維持・回復させる男性ホルモンや酵素の産生を促しますが、実はメラトニンの作用はそれだけにとどまらず、抗酸化物質としても働いています。
(中略)メラトニンは、最強・最悪の活性酸素であるヒドロキシルラジカルを直接無害化するばかりか、抗酸化酵素であるSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)などを活性化させる働きもあり、その抗酸化作用はたいへん強力なものです。
快眠に影響するメラトニンというホルモンは、強力な抗酸化作用を持っているんですね。それが何を意味するかは下記の記事に書きましたが、
そういった面からもEDと睡眠は切っても切り離せない関係にあると言えます。つまり睡眠不足は、
- セロトニンの量の低下による交感神経の緊張
- 交感神経の緊張による更なる睡眠不足
- 睡眠不足によるテストステロンの不十分な産生
- メラトニンという強力な抗酸化作用の損失
という理由で、EDと密接に関係していると言えるのです。ぜひともしっかりと快眠できるよう、あの手この手を尽くしましょう。以下の記事では、良質な睡眠を取るための方法を考えていますので、参考にしてみてください。
馬並師匠
さる
- メラトニンは強力な抗酸化物質。