若者がセックス離れしている理由は?
どれだけセックスと離れているかはわかりませんが、事実としてそのようなものが本当にあるとしたら、それは間違いなく時代による影響です。
人というものは思っているほどそう大したことありませんので、常に何かに影響されて生きています。大勢の意見や、影響力のある人等、そういうものに色を染められるものです。
それは精神未熟であればあるほどそうです。ですから、子供は特にそうなります。ということは、時代が変化し、その時代の影響を大きく受ける精神未熟な若者たちは、無意識に時代からある種の色を塗りつけられます。その色の要素に、今回のテーマと関係するものが存在していると考えられます。
馬並師匠
さる
若者がセックス離れしている?
最近の男性の若者がセックス離れしていることについては、下記に貼った記事に様々な角度から書いていますので、併せてご確認ください。
このあたりの記事を見れば、大体の事実が見えてくるはずです。そこで王道は考えましたので、今回は少し違った角度からこの問題を考えてみます。キーワードとなるのは以下のようなものになるでしょう。
- 草食系男子概念の出現
- ジェンダーレス男子の出現
- 熱血系から仲良し系へ
- 広がった多様性(ダイバーシティ)
- インターネット(PC・スマホ)の普及
- ネット系エロ動画の台頭
- 女性の扱われ方の変化
- バブル崩壊後の不景気
移り変わる時代背景
元々、
- 草食系男子
- ジェンダーレス男子
というカテゴリーは存在していませんでした。しかし、例えば草食系男子の対義語である『肉食系男子』が少なくなったとう事実から分析して、近年の男性の傾向は草食的である、という解釈がなされたわけですね。
それには、『熱血系から仲良し系へ』と時代が変化していった現実や、『広がった多様性(ダイバーシティ)』などが関係していると考えることができます。例えば、一昔前に流行していた漫画は、『巨人の星 』でした。まず、世代別の漫画・アニメ人気ランキングを見てみましょう。
1950年代:『鉄腕アトム』
1960年代:『巨人の星』
1970~80年代:『ドラゴンボール』
1990年代~:『スラムダンク・ワンピース』
こうして流行した漫画やアニメの傾向を見てみると、人々の考え方がどのように変化していったのかが、少しだけ見えてきます。例えば今の若者に流行しているのは、
『巨人の星』
『アタックNo.1』
『ガラスの仮面』
のような熱血的な漫画よりも、
『ワンピース』
のような『仲良し系』漫画や、多岐に広がった様々なジャンルの漫画です。当時、テレビの視聴率は50%近いお化け番組がたくさんありましたよね。では、本当にそのテレビ番組はそれほど面白かったのでしょうか。それとも、『他に選択肢がなかった』からでしょうか。
見る番組が一つか二つしかない場合は、おのずとその番組の視聴率が高くなります。したがって、多様性が少ない時代は、自然と人々の思想の多様性も少なくなり、似たような考え方を持った人が多くなるわけです。
しかし、今の時代は多様性が広がっています。小中学生が見る番組は、テレビではなくyoutube。ドランクドラゴンの塚地武雅さんなどは、甥に、
ヒカキンと共演できるようにならないと認めない。
と言われたそうですが、かつて白黒テレビを観るために近所の人がテレビがある家に集まって、同じ番組を一緒に見た、という時代と比べて、ずいぶんと多様性が広がったものですね。
これを考えたとき、確かに今でも熱血系の漫画やアニメ、ドラマは存在するかもしれませんが、『決してそれだけに注目しているわけではない』というのが現実なのです。つまり、そのような番組やコンテンツを、そのような傾向が好きな大人が発信しているからといって、視聴者や読者は、必ずしもそれを見るとは限らないのです。
- スクールウォーズ
- スケバン刑事
- おニャン子クラブ
- ビーバップハイスクール
- ギルガメッシュナイト
漫画に限らず、大人が一方的に放映するコンテンツの内容は、男性の雄々しさをある種煽るような、そういうものであふれていた印象を受けます。世の男性の多くは、多様性の少ないその時代に合って、『他に選択肢がない』ゆえに、その時代の大人たちが持っていた傾向から、多くの影響を受けていました。つまり、
男性とは肉食的で、野性的で、熱血漢で、雄々しくなければならない。
という風潮が、辺り一面に蔓延していたのです。これはある種、『流行』だったと言えるかもしれません。
しかし流行というものは、ひとたび過ぎ去ると急激に『ダサくなる』ものです。これは人間の考え方の傾向ですね。流行は、一周回って逆にオシャレになることもありますが、回るまでの期間は、やはり衰退するものです。バブル全盛期の頃に流行した、男性の野性的な傾向は、今の時代を生きる若者たちにはちょうど、『ダサい』のかもしれません。
馬並師匠
さる
- 流行というものは、ひとたび過ぎ去ると急激に『ダサくなる』。
『熱血系』と『仲良し系』
『熱血系』と『仲良し系』は、ちょうど対極にあるような印象があります。例えば、私はちょうどその時代の転換期を経験しているから両方の傾向をよく知っていますが、10代の頃面白いと思った漫画に、『新・男樹』というものがあります。
男が『漢』として生きていくためにはどのようにすればいいか。その猛々しさや雄々しさというものを、潔く描写したこの漫画で描く主人公の男は、法律さえも飛び越えて、自由に生きていました。それは、同じ本宮ひろ志の漫画『サラリーマン金太郎』なんかを見てもわかることです。
しかし、今の時代の若者がこのような荒々しい漫画を見て、この主人公の生き方に『理想の男性像』を見出すかどうかを考えると、首をかしげることになります。時代は明らかに、多様性を求めています。そのうちの一つが、ジェンダーレス男子だと考えられるのです。
ジェンダーレス男子は、本宮ひろ志の漫画には決して出てきません。もちろん、『魁!男塾』や、『スラムダンク』にも出てきません。しかし、そのような王道漫画が世を席巻する中で、漫画家たちが生き残るためには、『ニッチ市場』を見出し、そこで競争優位性を確保するしかありません。
そのような背景も手伝って、漫画やコンテンツの中に多様性が広がり、人々の考え方は徐々に、元来心底に抱いていた本当の自分に合ったものを具現化するべきだ、という発想に繋がっていったように見えます。つまり、
俺は別に、元々熱血系が好きではない!多様性が広がってくれてありがたい!自分にピッタリくるコンテンツや洋服、考え方が登場してくれたこの時代は、無意味に妥協することなく、居心地がいい!
ということなのです。
馬並師匠
さる
- 広がった多様性は人々の十人十色の色にフィットした。
ニッチ市場が開拓されたことが多様性を広げた
例えば、PCやスマホを開き、Googleで検索すれば無数のウェブサイトが存在しています。以前は、『SONY』と打ち込むと、スパム行為によってアダルトサイトが検索結果の1位に来ていましたが、今はそういうことにはなりません。
この15年間で、検索エンジンの性能は飛躍的に向上し、大きなエネルギーを秘めるようになりました。それに付随して、そこにビジネスチャンスを見出した企業や個人が続々と現れ、ランキングで上位を取ろうと躍起になり、『SEO(検索エンジン最適化)』のことを考え続ける時間が現在進行形で続いています。
ビッグワードは、いわゆる『ダイエット』や『便秘』等の単一キーワードです。しかし、そのようなビッグキーワードで1位を取るのは容易ではありません。ですから、なるべくニッチなキーワード、例えば、『ダイエット 青汁 方法 副作用』等の複合キーワードで上位を取るように努め始めます。これは、先ほどの漫画の考え方と同じです。
王道漫画にはかなわないから、ニッチなジャンルで競争優位性を確保するしかない。
と考えるわけですね。それはこのように、Webサイトの世界でも同じことなのです。すると、それと同時にそれを見るユーザーたちの心境にも変化が起き始めます。
ん?こんな俺にぴったりのサイトがあるのか!いいね!
などと言って、自分の思想や考え方にピタッとはまるコンテンツが増え始めるようになります。それまでは、妥協していたのです。例えば『廃品回収』は、軽トラックでスピーカーを鳴らして回ってくる時代から、インターネットが台頭したちょうどその時代の転換期は、どんなにぞんざいなページであっても、上位を取っていればガンガン契約が取れました。消費者は、
軽トラック業者に出すよりは、検索結果で出た業者の方が信頼できる。
あるいは、
軽トラックはいつくるかわからないから、自分で調べよう。
ということで、『やむを得ず』そのような『ページを持っている業者』に連絡をしていたのです。しかしそのうち、そのような業者が殿様商売になり、不祥事を起こすようになります。またあるいは、他に優れたページを持つ企業が現れるようになり、競争が激化するようになります。
すると、今までは『やむを得ず』そのような企業に依頼していた消費者が、『ようやく選べるようになった』ということで、より自分に合った、優秀で、安全な業者に依頼するようになりました。このように、時代が多様性を生み出すたびに、人々の生き方の多様性も広がっていったのです。
馬並師匠
さる
- 時代が多様性を生み出すたびに、人々の生き方の多様性も広がっていった。
時代の変化とともに変わったこと
戦後の日本は、日本復興の為に国民の気持ちは一つにまとまっていました。『欲しがりません。勝つまでは。』という言葉があるように、戦前も戦中も戦後も、その当時の人々は、『我慢することが当たり前。生きてるだけで丸儲け。』という考え方が常識でした。
しかし日本は平和になり、GDPでも3本の指に入るまでになって、徐々に人々の考え方に多様性が見られるようになりました。それは、個人においても、今見てきたような、企業や番組制作者、漫画家、アニメーター、Webクリエイターといった、すべての人に当てはまることです。
男尊女卑の考え方も時代遅れ。喫煙すらも時代遅れとなったこの時代は、『肉食的な男性の流行』が過ぎ去ったばかりという事実も手伝って、一昔前の時代と比べて、より人間一人一人の個性を尊重するようになったのかもしれません。
その中には『女性の権利』も含まれています。肉食というのはある種、その女性の権利を踏みにじるような野性的な荒々しさが付随するものです。女性もそういう男性が必ずしも嫌いではなく、今の時代の女性たちの口からも、
もっと押せよ!
とか、
引っ張ってくれる男性がいい。
という言葉は、尽きることはありません。
しかし、多様性が広がり、各人の個性や思想が尊重され、野性的男子の流行が去り、色々と妥協する必要がなくなったこの時代、今、一時的に世の男性は、女性とのセックスに関しても、燃えるようなリビドー(性的衝動)を覚えることはなくなったのかもしれません。
リスクを冒してでも、自分の自由な生き方に代償を払ってでも、女性と一緒になりたくない。女性が料理をしなくても、家事をしなくても、今は様々なサービスが展開されているから、お金さえあれば生きていける。そういう事実も、セックスや結婚に魅力を覚えない男性が増えている事実に、関係しているかもしれません。
馬並師匠
さる
- 一昔前の時代と比べて、より人間一人一人の個性を尊重するようになった。
- 今、一時的に世の男性は、女性とのセックスに関しても、燃えるようなリビドー(性的衝動)を覚えることはなくなったかもしれない。
人は無意識の部分で何を考えているか
もちろん、簡単にエロ動画を見てオナニーができるようになったことも影響しているでしょう。広がった多様性の中には、そのようなこともあります。
ただもしかしたら、我々の知らない無意識の部分で、『これ以上人口を増やさないように』しようと、ブレーキがかけられているのかもしれません。戦後の世界の人口は30億人ですが、今はその2倍以上の72億人です。30年後には90億人を超すと言われていますが、『エコロジカルフットプリント』の面から考えても、人間はとっくにその許容範囲を超えています。
日本人は賢いので、もしかしたら少子高齢化がどうとか言われても、実際に人間が快適に生きていくために必要な人口になるように、無意識に調整しているのかもしれませんね。これがもし戦後で、どうしても人手が欲しくてたまらない、というような状況であれば、結婚してたくさんの子供を儲けることが常識になっているかもしれませんが、今の世は違いますからね。
色々な方向から考えられますが、結論としては、これは時代の流れに任せるしかないかもしれません。もしそれで日本人が人類から淘汰されるのであれば、それもまた必然だったと考えることもできます。かつてあった大陸が今は存在しないように、そうしてこの世界は常に変化を遂げて、生き延びるために適応しているのかもしれません。
馬並師匠
さる
- もしかしたら無意識に人口調整をしている可能性も否めない。