ネット通販で買えるED治療薬のリスクって何?
ネットで買えるED治療薬は『ほとんどニセモノである』ということを認識することが大事です。
何しろED治療薬は、医師の処方がないと入手できません。硝酸剤との併用で死に至ることもあり、素人判断で使えるものではないからです。
ですから、そんな処方薬がネットで気軽に買えるということは、ほぼ何かしらの裏があります。それを理解した上で購入するなら、あらゆる代償を払う覚悟を持ちましょう。
馬並師匠
さる
ED治療薬と通信販売について
ED治療薬をネットで購入することのリスクについてはいくつかの記事に書きましたが、ここでは更にそのテーマに特化して、情報をまとめてみましょう。
まず何よりも、各専門誌から引用する方がいいですね。『ササっとわかる 男性機能の不安に答える本-ED治療の最前線』(講談社)にはこうあります。
ED治療薬は通信販売で購入できる?
インターネットの普及によって、世界中の人たちが同じ情報を共有できるようになりました。様々な商品をインターネットで購入することもごく当たり前になっています。しかしこの便利な仕組みを利用した医薬品の偽装販売が、現在、世界的に問題になっています。
注文しても商品が届かないというケースならまだよい方で、錠剤によく似てはいても実は薬ではない物体が入ったいたり、正規の商品に似せるためにペンキで着色した疑似錠剤が入っていたりするケースもあります。これらを服用したら、当然、体に害が及ぶことになります。
ED治療薬は、サプリメントではありません。世界中のどの国でも医師の処方によってしか服用できない薬です。信頼できるかかりつけの医師から処方してもらうようにしましょう。
- 注文しても商品が届かない
- 正規の商品に似せるためにペンキで着色した疑似錠剤が入っている
というキーワードが出てきましたね。これはED治療薬に限った話ではなく、偽物を売りつける不正業者を利用すれば、商品が届かなかったり、カード情報を抜き取られたりといった問題が起きてしまうのが常識です。
日本人は平和に慣れすぎていて、このような犯罪やトラブル、不正問題に対する免疫力がついていません。ですから世界のハッカーなどは、日本の情報を抜き取ることなど朝飯前だと考えています。
馬並師匠
さる
- 日本人は平和に慣れすぎていて、ネット犯罪やトラブル、不正問題に対する免疫力がついていない。
サイバー犯罪と日本
『サイバー・クライム』にはこうあります。
日本企業に対してもDDoS攻撃を使った恐喝事件が発生している。一例を紹介しよう。ネット上でゲームサイトを運営する某企業に、ある日突然1通の脅迫メールが届いた。『今から攻撃を開始する。被害を受けたくなければ100万円払え。』ほぼ同時にウェブサイトが高負荷によってダウンする。典型的なDDoS攻撃の手口だ。
(中略)『徹底して戦い抜いたことで社員の団結力が高まっただけでなく、顧客からの信頼も勝ち取り、売り上げ増加にもつながるなど、最終的には強迫に応じずによかった』と、この会社の社長は語っている。ただし、警察に被害届を提出したものの、書類の記入に時間を取られるばかりで、『サイバー空間の中では警察は頼りにならない』と感じたとも言う。
これは2011年に出た本ですが、少し前までの日本で考えると、警察ですらもこの手のネット犯罪に対して全く当てにならない状況が蔓延していました。
以下の表は、本に記載されている、日本が被害を受けた主なDDoS攻撃の一覧です。
2004年8月 | 国内8省庁へのDDoS攻撃・攻撃元は不明 |
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2004年9月 | 小泉首相(当時)の靖国神社参拝に抗議し、中国から靖国神社へDDoS攻撃 |
2005年3月 | 外務省へのDDoS攻撃・攻撃元は不明 |
2005年4月 | オンラインゲーム『ファイナル・ファンタジーⅪ』『ラグナロクオンライン』にDDoS攻撃・攻撃元は不明 |
2006年6月 | 韓国から投稿掲示板『2ちゃんねる』へのDDoS攻撃 |
2006年9月 | 海外の複数の攻撃元から、日本銀行へのDDoS攻撃 |
2007年2月 | ドワンゴの人気サイト『ニコニコ動画』へDDoS攻撃・攻撃元は不明 |
2008年4月 | 韓国から『2ちゃんねる』へのDDoS攻撃 |
2008年12月 | 韓国から『2ちゃんねる』へのDDoS攻撃(フィギュアスケートグランプリファイナルで浅田真央が優勝した腹いせとみられる) |
2009年2月 | 韓国から島根県のウェブサーバーに対するDDoS攻撃・日本からの報道で韓国サイトも被害を受けた |
2010年2月 | 韓国から『2ちゃんねる』へのDDoS攻撃(キムヨナ選手の採点疑義関連) |
2010年9月 | 尖閣諸島沖中国漁船衝突事件への抗議を理由に中国から防衛省、警察庁のサイトにDDoS攻撃 |
DDoS攻撃というのは、膨大なトラフィック(アクセス)を使ってサーバーに高負荷をかけ、サーバーをダウンさせる攻撃のことです。サイバー犯罪に全く無頓着だった時代は、まさにハッカーやサイバーテロリストたちのやりたい放題だったわけですね。
もちろん、それは現在進行形で続いていることではあります。しかし、日本というのは平和であるがゆえに、このような不正問題に対する対策を考えていないのです。例えば、海外では自分の家の『窓の内側』に鉄格子をするのが常識だったりします。
強盗が入るのが当たり前だからですね。日本でこのような光景を見ることがあるでしょうか。このようにして日本は世界屈指の平和な国なのですが、デメリットとしては、世界的な犯罪から身を守る術を身につけていないということですね。
- STEP.1EDは恥ずかしい病気である(間違った思い込み)
- STEP.2病院に行くよりネットで薬を買って密かに治した方がいい(間違った思い込み②)
- STEP.3偽の薬と気づかずにネットで注文する(間違った行動)
- STEP.4待っても待っても商品が届かないあるいは偽物の粗悪品をつかまされる
- STEP.5EDの症状は以前のままあるいは違う問題が浮上するリスクがある
馬並師匠
さる
- 日本が被害を受けた主なDDoS攻撃を確認する。
各専門誌の意見
続いて、『男性機能の「真実」』にはこうあります。
偽物にご注意を
たくさんの偽造ED治療薬が出回っています。インターネットで購入したED治療薬の成分を調査した論文があります【佐々木春明 他,2010】。それによると、なんと55.4%が偽物であったそうです。塗料や印刷用インクが含まれていたり、健康被害をもたらす薬物も含まれていたりしたそうです。効かないだけならまだしも、健康に被害があってはたまりません。中には死亡例もあります。決して安易な方法で手に入れないようにしてください。必ずクリニックや病院で相談し診察を受けて入手してください。
- インターネット錠にあるED治療薬の55.4%が偽物
- 塗料や印刷用インクが含まれていたり、健康被害をもたらす薬物もある
- 死亡例もある
というキーワードが出てきましたね。これも前述したことと同様、日本人はもっとこの手の犯罪に対して敏感になる必要があります。
続いて、『オトコの病気 新常識』にはこうあります。
用法・用量を守ればきわめて安全なED治療薬
(省略)世間では何かと誤解や誤った噂の多いED治療薬。安全に使うためには、まず自分の身体の状況や性生活の状況などを医師にきちんと説明し、適切に処方してもらったうえで、用量や用法を守って正しく使うことが大切だ。最近ではニセモノのED治療薬が氾濫しているが、病院に行くのが面倒でも、個人輸入による安易な使用は控えた方が賢明である。
- 用量や用法を守って正しく使うことが大切
- 病院に行くのが面倒でも、個人輸入による安易な使用は控えた方が賢明
と出てきました。どの専門家も言うことは同じですね。それだけ重要なことを言っているということです。
続いて、『ニッポン男子の下半身が危機的なことに気づいたワタシ (扶桑社新書)』にはこうあります。
ネットでED治療薬を購入する恐ろしさ
(省略)確かに、ネットでの購入ならパソコンひとつで済みますし、誰の目もはばかることなくED治療薬を入手することができます。しかしこれは、もっとも命知らずな行為なのです。
もちろん、医師に健康確認などをしてもらわないというのも問題ですが、さらにまずいことに、ネット上では多くの偽造品が出回っているのです。WHO(世界保険機関)の調査では、インターネットなどで不法に販売される薬品のうち、半分以上は偽造品だということが報告されています。
こういった偽造品はマフィアや暴力団の資金源になっていることが多いため、密売が後を絶たないのです。偽造品の安全性に関して、バイアグラの製造・販売元であるファイザー株式会社の広報担当者はこう言います。
『偽造品は無許可、検査なしの工場で作られていることが多いため、中古セメントミキサーを使用して製剤するなど、非常に不衛生な環境で製造されている可能性があります。私どもは中国や中東の偽造バイアグラ製造現場の写真を入手していますが、その光景は悲惨たるものです。また、完成した商品も検査や審査なしで出荷されるため、殺虫剤などの有害物質などが含まれているケースがあります。
偽造品のバイアグラの中には実に巧妙に作られているものもあり、微妙に色が違う程度だと、我々でもよく見比べなければわからないほどです。とても個人では見分けがつかないと思いますので、やはり医師の処方を受けて買ったものを服用していただきたいですね。』
- 不法に販売される薬品のうち半分以上は偽造品だということが報告されている
- 偽造品は非常に不衛生な環境で製造されている
- 偽造品かどうかは個人では見分けがつかない
と出てきましたね。やはり言っていることは同じです。
馬並師匠
さる
- ネットでED治療薬を購入することは危険。
最新ニュース
また、最新のニュースがあります。2018年3月15日の産経新聞『勃起不全治療薬、摘発追いつかぬ偽造品 なぜ“怪しいクスリ”にニーズがあるのか』にはこうあります。
大阪府警は2月、偽ED薬を所持していた商標法違反の容疑で、違法DVD販売店経営の男(67)と従業員の女(52)を逮捕した。こうした偽造品は一般に、中国やインドなどのヤミ工場で生産され、粗悪な作りで健康被害を引き起こす危険性も指摘されている。にもかかわらず、ネット上では盛んに取引され、摘発が追いつかない。なぜ怪しいクスリにニーズがあるのか。
(中略)逮捕されたDVD販売店経営の男らは、顧客に配布していたカタログで「シ○リス10錠4千円」「30錠9千円」などと宣伝。わいせつDVDとセットで購入するよう呼びかけていた。(中略)府警によると、シアリスの正規品の価格は1錠1700円ほど。本物であれば破格の値段といえるが、国内ではそもそも、ED治療薬は医師の処方箋がないと入手できない。押収物の成分は鑑定中だが、ED治療に有効な医薬品の成分が含まれていた場合は、医薬品を無許可で販売した医薬品医療機器法違反の疑いがある。
現在のところ、購入者の健康被害は確認されていないというが、捜査関係者は「正規ルート以外で入手した偽造品には絶対に手を出してはいけない」と警鐘を鳴らす。ED治療薬に処方箋が必要なのは、薬の効能に個人差があるからだ。心臓や血管に持病がある場合など、個人の体質や体調によって影響は異なる。そうした見極めのために医師の診察が欠かせないのだ。
偽ED薬の中には、正規品よりも有効成分を多く含有していることを売りにしているものもあるが、成分の数値が大きければ効果が高いとは限らず、体格や体質によっては激しい副作用に見舞われる恐れもある。
1錠1,700円のシアリスの偽造品が、30錠で9,000円で販売されていたんですね。1錠300円の計算です。たしかにこの安さを見れば、思わず手を出してしまう人もいるかもしれません。しかし、今までそのデメリットについてはさんざん見てきましたね。
- 正規品よりも有効成分を多く含有していることがある
- しかし成分の数値が大きければ効果が高いとは限らない
- 体格や体質によっては激しい副作用に見舞われる恐れもある
と出てきました。不正な商品は、得てして『正規の商品よりも優れている』ということをアピールするものです。しかし実際にはそれは、その商品を売りつけたいがためにとってつけたような『デマ情報』であり、過剰演出であることがほとんどです。
知人の男性は、中国で高級時計のスーパーコピー商品を10万円分ほど、大量に買ったと言いますが、すべて1か月もしないうちに壊れたそうです。その時は、
一つ100万円ほどする腕時計のコピーが、こんなにたくさん、しかも10万円で買える
といううたい文句に惑わされ、つい(安い)と思ってしまったそうです。しかし、一度お金を払ってしまえばもう後の祭りですからね。わざわざクレームを言いに中国に戻ることも面倒ですし、そもそもどこで買ったのか、裏道中の裏道に連れていかれたので、ルートを覚えていないということでした。
人は弱い生き物です。見栄もありますし、楽をして生きていきたい。しかし、そんな弱みに付け込んであらゆる犯罪は網を張っています。まるで、クモがクモの巣を張って、獲物を待ち受けているように。
道を歩けばクモの巣があり、アリジゴクがあって食虫植物がいる。人も動物も昆虫も、生きている以上は常に自分で、自分の身を慎重に守って、生きる必要がありますね。
馬並師匠
さる
- アリジゴクやクモの巣を避けて通るのは人間の責務。