包茎手術の費用や注意点は?そもそも手術するべき?
手術費用はどんなに高くても3~4万円です。
保険が効けば健康保険負担でそのうち3割を支払えば済み、意外と気軽に受けられる金額です。
しかし包茎手術には様々なデメリットがあって、医師から強く推奨されるものではありません。医学的な見地からすると、包皮の切除はできるだけしないほうが望ましいーというのが現在の潮流です。
馬並師匠
さる
『ダヴィデ像』のペニス
世界的芸術家、ミケランジェロの名作『ダヴィデ像』のペニスは、決して大きなサイズと言えるようなものではなく、かつ包茎であるということをご存知でしょうか。実際にWikipediaにある画像を引用して確認してみましょう。
ユダヤ教とイスラム教の信者たちは現在でも『割礼』を続けていますが、その根拠となっているのは旧約聖書の創世記17章にある、アブラハムの割礼の記述だとされています。
これは見方によっては『包茎手術』ですね。もちろん実際にはそういうことではなく、宗教的な意味があってそうしているといいます。基本的にはこの割礼は、『マスターベーションを防止する』意味があるんですね。ですから女性の場合はクリトリスを切除することもあったといいます。動機となる快楽のもとを取り去ってしまえば、マスターベーションはしなくなるという考えのもと、割礼が行われたんですね。
マスターベーションは『悪癖』だと考えられていて、あらゆる健康障害はそのせいだと考えられた時期がありました。
- 子供の注意力が散漫になる
- 怠け癖がつく
- 記憶力を弱める
- 無関心になる
といった現象の原因だと考えられていたんですね。それは、1903年に刊行された『理想的な女性』という一種の母親になる女性へのマニュアル本に書いてあることだそうです。
馬並師匠
さる
- 『ダヴィデ像』のペニスは大きくなく包茎である。
- 割礼は、『マスターベーションを防止する』意味がある。
麻酔なしで行った割礼の手術
『切ってはいけません! 日本人が知らない包茎の真実』にはこうあります。
『最良の結果をもたらすためには、皮膚と粘膜をじゅうぶんなだけ切り取り、あとで勃起したときに包皮がぴんとはりつめた状態になるようにしなければならない。傷が治ったときに、包皮にあそびがないようにしておく。…包皮にあそびがあると、患者は必ずや悪癖を再開するだろう。時間とエネルギーを、惜しむことなく快楽を得るために費やしてしまうだろう…』
Q.包皮がだぶついているからコスるんだ、って論理だね。あまりに単純じゃない?
石川.100年以上前の医学知識だからね。いまの考えで理解するべきではないよ。なにしろ悪いクセをやめさせるためだから、手術は懲罰の意味をこめて麻酔なしで行われねばならないと書いている医師もいるくらいでね。ペニスを見るたびに、痛みを思い出して自慰する気分を萎えさせようとする、一種の条件づけ療法というわけ。
皮をかぶっているから自慰行為をする。だから割礼をしてそれを阻止する。マスターベーションが『悪癖』であることを前提とした習慣だということですね。したがって、ユダヤ教の流れをくむ男性たちは、
- ダヴィデ
- ソロモン王
- イエス・キリスト
皆例外なく割礼をしました。しかし、ある時からキリスト教では、パウロが『肉体の割礼』よりも『こころの割礼』が重要であると主張して、割礼の廃止を訴えました。パウロが主張したのは、
信仰とは精神の問題であって、体の一部を切り取ったからといって神との契約が成り立つわけではない
というものだったんですね。そしてキリスト教では割礼のかわりに、洗礼が行われるようになりました。それは、当時何でもかんでも『形式』を気にする律法主義のユダヤ教に首をかしげていたキリスト教らしい考え方かもしれませんね。
参考 イエスとユダヤ教インクワイアリー
馬並師匠
さる
- キリスト教では割礼のかわりに、洗礼が行われるようになった。
過去と現在のペニスへの考え方
しかしこのダヴィデ像、割礼をしていませんよね。イスラエルの王であるダヴィデはユダヤの規律にしたがって生後8日目に割礼を受けたはずなのに、包茎のままです。これは多くの美術史家や医師たちの頭を悩ませたことで、ある意見では、この像は少年ダヴィデの顔と、巨人ゴリアテの下半身を合体させたものではないかというものもあります。
とにかく、はるか昔から理由は違えど『包茎手術をする』という概念は存在していて、男性にとって、自分のペニスがどうあるべきかということは、サイズのことも含め、永遠のテーマとなっていることです。
先ほど、100年以上前の医学知識だから仕方ないとありましたが、ダヴィデが生きていたのは3,000年前ですからね。紀元前1,000年。キリストよりも1,000歳年上です。ですから、どんなことにおいても今の常識とは全く違うことを考慮しなければなりません。
- 当時の人は、『マスターベーションをするから割礼をする』
- 現代の人は、『格好悪いから包茎手術をする』
ということですが、タトゥーや整形しかり、今では身体をいじくることは一種の『ファッション』のような感覚になっているのかもしれません。
馬並師匠
さる
- 過去と現代の包茎手術の考え方は変わっている。
仮性包茎は包茎?
包茎というのはいろいろありますが、その頻度を正確に表すことはペニスの計測よりもむずかしいという見解があります。
ペニスの形状の分類で一番多い表現は、
- Ⅰ型:亀頭完全露出
- Ⅱ型:中等度露出
- Ⅲ型:仮性露出
- Ⅳ型:真正包茎(完全包茎・狭義包茎)
という4つの分類です。このうち、ⅠとⅣに関してはわかるのですが、ⅡとⅢに関してはその線引きがあいまいです。仮性包茎と、中等度露出の違いは一体なんでしょうか。実は、そもそもこの『仮性包茎』というのは基準が人や国によって異なっていて、ある見解ではこれは『包茎ではない』としてカウントしています。例えば、あるグループの男性の性器形状は、
- 亀頭完全露出:約20%
- 真正包茎:約3%
であり、残りの77%が『仮性包茎』ということになるのですが、このうち65%(全体の50%)は『包皮をたくしあげて亀頭を露出させていて、判定基準の甘い測定では、この人達は完全に剥けたグループにカウントされるので、この調査報告では、
- 亀頭完全露出:約70%
となるのです。『切ってはいけません! 日本人が知らない包茎の真実』にはこうあります。
医学的な見地からいうと、仮性か仮性でないか、というのは重要ではなくて、包皮が『反転可能』かどうかってことが問題なんだ。仮性包茎の『Pseude(スード)』というのは『贋』ってことで、だから『仮性包茎』は『ニセモノの包茎』という意味。『false(フォールス)』も『贋』とか『嘘』を意味している。つまり英語では、『仮性包茎』は『包茎』のカテゴリーに含まれていない。
ところが日本語では『包茎』も『仮性包茎』も同じ『皮かぶり』というカテゴリーに分類されています。端的にいって『皮かぶり』というのは医学用語ではなくて文化的な用語何だよ。審美的な用語といっていい。
仮性包茎を包茎とカウントしない見解もあるんですね。そう考えると、包茎ではない亀頭完全露出の数はグンと引き上がります。まずは、それを理解するだけで、包茎手術をしようと思う人の数は激減するのではないでしょうか。
馬並師匠
さる
- 仮性包茎というのは包茎ではないという解釈が一般的。
包茎手術のデメリット
包茎手術には様々なデメリットがあって、医師から強く推奨されるものではありません。この本の著者も医師ですが、手術を推奨していないのです。
『切ってはいけません! 日本人が知らない包茎の真実』にはこうあります。
イギリスでは包皮の切除手術は激減したけれど、いまだに必要な件数より数倍も多く行われている、と警告する研究者もいる。※BXOをともなう真正包茎だって、外科手術以外の治療法が試みられているんだ。
Q.それってつまり、手術はできるだけするなってこと?
石川 医学的な見地からすると、包皮の切除はできるだけしないほうが望ましいーというのが現在の潮流だからね。まず軟膏での治療を試みるというのが妥当な選択だと思うし、かりにステロイド軟膏が効かない場合でも、それがすぐに切除手術につながるわけじゃない。
Q.別の治療法があるの?
石川 簡単な無痛処置をほどこして、包皮口の皮膚をひっぱってひろげてあげる。手でひっぱったり、金属を具つかったり、一種の風船を利用する治療法もある。ともかく人工的な張力を与えて、開口部をひろげてやる。10,000人のうち軟膏を使っても剥けなかったひとが10~30人ほどいたわけだけど、そのうち4分の3くらいは、この治療法で反転可能になる。
手術よりも、
- ステロイド軟膏を塗る
- 皮膚を広げる
という方法の方が安全だとして、医師は推奨しています。軟膏を使っても剥けなかった人の数は0.1~0.3%程度しかいませんし、ほとんどの人はこれらの治療法によって、安全に反転が実現できるのです。
それでもだめな場合は手術をするしかないようですが、それは10,000人いたら7人ていどしかいないと言います。0.07%ですね。ですから、包茎手術はまず原則的に『やらない』と定めたほうがいいのです。仕方なくその0.07%に入ってしまってからでも遅くはありません。包茎手術の後遺症の報告として、
- みにくい傷痕が残った
- 包皮と亀頭の皮膚が部分的に癒着した
- 包皮の切り方が左右均等でなかったためにペニスが曲がった
- エレクト(勃起)したときに感覚が鈍くなった
- 無オルガズム症になった
- EDになった
というものが挙げられている以上、そこを見て見ぬふりはできません。
馬並師匠
さる
- 包茎手術には様々なデメリットがあって、医師から強く推奨されるものではない。
- 手術よりもステロイド軟膏を塗ることの方が推奨される。
- 軟膏を使っても剥けなかった人の数は0.1~0.3%程度しかいない。
包茎手術は保険が効くの?
そもそも、包茎手術で保険が適用されるのは、
- 真正包茎
- カントン包茎
のみで、仮性包茎に関しては自由診療です。この一面から考えても、仮性包茎である人は『生活に支障がない』、『別にそのままでも問題はない』と考えられていることがわかりますね。
手術費用はどんなに高くても3~4万円。保険が効けば健康保険負担でそのうち3割を支払えば済み、意外と気軽に受けられる金額なのですが、それで一生の後遺症が残ってもたまったものじゃありませんからね。それは、ペニス増大手術も同じことです。
まずは包茎についての知識を深め、心の整理をし、それでもなお『亀頭完全露出』状態にしたいのであれば、まずは手術以外の方法で治療することを検討し、どうしても0.07%の人に該当してしまうようになってから、はじめて手術を検討するようにしましょう。それが最も安全で、賢明な考え方ですね。
- 費用は3~4万円程度
- 後遺症のリスクは高い
- 軟膏治療でほとんどの人が改善する
馬並師匠
さる
- 包茎手術で保険が適用されるのは、真正包茎かカントン包茎のみ。
- 手術費用はどんなに高くても3~4万円。